天皇陛下が在位30年を節目とし、譲位を望まれていることに際し、政府は2019年1月1日に皇太子殿下が天皇に即位し、同日より新元号に移行する予定での検討に入ったと報じられました。
譲位に伴う関連法案は、今年5月の連休明けにも国会に提出され、審議される見通しとのことです。
1989年1月8日より始まった「平成」の世は、30年の節目に終わりを迎えることとなりそうです。
【追記】
その後、2019年4月30日に今上陛下の退位、翌5月1日に皇太子殿下が新天皇に即位することが決定。平成は31年4月30日をもって終了することになりました。
なぜ1月1日からなのか?
新元号への移行が1月1日と検討されている大きな理由は、元日に元号を変えることが、最も国民生活に影響を及ぼさないとの配慮によります。
さらに新元号の発表は来年の前半までには発表される見通しとのこと。
これは主にカレンダーなどの印刷(天皇誕生日や和暦の記載への対応)に影響が及ばないように配慮するためで、政府機関のシステム改修(公的文書はすべて和暦で日付を記載するため)の時間を確保するためとのこと。
印刷関連に身をおいている私としましては、この配慮はとても助かるのですが、システム手帳など、翌年の3月(年度末)まで日付を入れているものは2017年に作成するので間に合いませんね。まあ、これは仕方ないと諦めるしかないですね。
平成が始まった年は、すでに昭和64年が明け、1月8日からでしたので、和暦で平成元年と記載されたカレンダーは少なく(4月始まりのものぐらい)、その1年は昭和64年と書かれたカレンダーを飾っていたことを、何となく覚えています(笑)
【追記】
新元号への移行は、宮中行事の多い正月を避けることになりました。
新元号の発表も、改元の1か月前に発表と、当初目的としていた国民生活への影響を最小限に抑えるという今上陛下のご配慮が反映されることなく、印刷業界、ITシステム関連に多大な影響を及ぼすことになるスケジュールとなりました。
譲位って具体的に何を行うの?
譲位に伴い、現在の皇太子殿下が践祚(せんそ)される際に、いったい何が行われるのでしょうか?
平成31年元日、国事行為である「剣璽等承継の儀」(三種の神器等引き継ぎ)と「即位後朝見の儀」(三権の長らの初拝謁)を宮中で行い、官房長官が速やかに新元号を発表する方向で検討している。
皇位継承に伴う重要儀礼である大嘗祭は、準備に半年以上を要するため、平成31年11月にずれ込む見通し。皇位継承を内外に示す国事行為「即位礼正殿の儀」は大嘗祭の前に行われるという。
【天皇陛下の譲位】新元号は平成31年元日から 皇室会議を経て閣議決定へ 法案提出は今年5月連休明け(1/2ページ) - 産経ニュース
平成31年と表記するのはどうなのかと思いますが、とにかく2019年はお正月からかなり慌ただしくなりそうですね。
なお、「大嘗祭」とは、天皇陛下が即位されて初めて行う新嘗祭のこと。
新嘗祭とは、11月23日に、天皇陛下が五穀の新穀を天神地祇(てんじんちぎ)に勧め、また、陛下もこれをお召し上がりになり、その年の収穫に感謝するもので、非常に重要な行事とされています。
今上陛下が即位された平成元年には、様々な儀式が執り行われました。
- 1月23日 賢所・皇霊殿・神殿に期日奉告の儀、伊勢神宮・天皇陵等に勅使発遣の儀
- 1月25日 伊勢神宮・神武天皇・前四代天皇陵奉幣の儀
- 2月8日 斎田点定の儀
- 8月2日 大嘗宮地鎮祭
- 9月27日 斎田抜穂前一日大祓(悠紀田:秋田県五城目町)
- 9月28日 斎田抜穂の儀(悠紀田)
- 10月9日 斎田抜穂前一日大祓(主基田:大分県玖珠町)
- 10月10日 斎田抜穂の儀(主基田)
- 11月12日 即位礼当日賢所大前の儀
- 同日 即位礼当日皇霊殿・神殿に報告の儀
- 同日 即位礼正殿の儀 ※国事行為
- 同日 祝賀御列の儀 ※国事行為
- 同日 - 15日 饗宴の儀 ※国事行為
- 11月13日 園遊会・内閣総理大臣夫妻主催の晩餐
- 11月16日 伊勢神宮に勅使発遣の儀
- 11月18日 一般参賀
- 11月20日 大嘗祭前二日御禊・大祓
- 11月21日 大嘗祭前一日鎮魂の儀・同大嘗宮鎮祭
- 11月22日 大嘗祭当日神宮に奉幣の儀
- 同日 大嘗祭当日賢所大御饌供進の儀
- 同日 大嘗祭当日皇霊殿・神殿に奉告の儀
- 同日 大嘗宮の儀・悠紀殿供饌の儀
- 11月23日 大嘗宮の儀・主基殿供饌の儀
- 11月23日 - 25日 大饗の儀
- 11月24日 大嘗祭後一日大嘗宮鎮祭
- 11月27日 - 28日 即位礼・大嘗祭後神宮に親謁の儀
- 12月2・3・5日 即位礼・大嘗祭後神武天皇・前四代天皇陵親謁の儀
- 12月3日 茶会
- 12月6日 即位礼・大嘗祭後賢所・皇霊殿・神殿に親謁の儀
- 同日 即位礼・大嘗祭後賢所御神楽の儀
即位の礼に参列した各国要人
国家元首級:70カ国 皇室・王室:20カ国 副大統領級:15カ国 首相級:20カ国 閣僚級:35カ国
(出典:wikipedia)
あまりに多すぎて眩暈がしそうになりますが、これはあくまで即位の礼に関する儀式だけで、通常の公務や行事もありますから、ご負担はかなりのものになります。
【追記】
譲位が5月にずれ込んだため、践祚に関わる儀式のタイムスケジュールが大きく変わる変わることとなります。新天皇として皇太子殿下は多忙なスケジュールをこなされることとなりそうです。
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譲位後の今上陛下のお立場は?
2019年以降の今上陛下のお立場はどのようなものになるのでしょうか?
国会での審議が待たれますが、歴史的な見地から考えると太上天皇というお立場になられること。
太上天皇は上皇とも略され、最も最近にその地位についたのは、文化14年(1817年)に仁孝天皇へ譲位された光格上皇。
もし太上天皇となられたら、200年ぶりとなります。
しかし、現在の皇室典範では、ひとつ問題が生じます。
第4条に次の様にあります。
「天皇が崩じたときは、皇嗣(天皇の跡継ぎ)が、直ちに即位する。」
皇室典範は終身在位を基本とし、譲位を想定しておらず、譲位後の称号や住居、葬儀なども定める必要がある。このため、政府は、皇室経済法や宮内庁法などの一部改正も視野に入れており、譲位関連法案としてパッケージで国会に提出することになりそうだ。
憲法4条は「天皇は国政に関する権能を有しない」と定めており、「天皇陛下のご意向」を憲法違反にならぬ形でどのように反映させるかも焦点となる。
(上記、産経ニュース)
日本は法治国家ですので、法律にないことは行えないというのが原則です。
まだるっこしい部分もありますが、法律的にクリアにしなければならないことも山積みですので、2年後のことですが、非常にタイトなスケジュールで物事を決めなければならないと思います。