体操の全日本選手権で、リオ五輪個人総合金メダリストの内村航平選手(リンガーハット)が個人総合10連覇を達成しました。
予選はあん馬のミスで4位通過となりましたが、最後は86.350、2位とわずか0.050点の差でプロ転向後初めての試合を優勝で飾りました。
なお、全日本選手権の優勝回数は男子では内村選手の10回を筆頭に、竹本正男選手、小野喬選手の7回、冨田洋之選手の6回、塚原直也選手の5回と、複数回記録はありますが、やはり内村選手の10回は突出しています。
その10回目の優勝を決めた優勝インタビューで、女子の全日本選手権で優勝10回を記録した池田敬子さんへのリスペクトを表していたところは、さすがだなと思いました。
池田敬子さんとは?
インタビューの際にお名前の挙がっていた、池田敬子さんとはどのような方なのでしょうか?
1933年11月11日生まれ、広島出身。
日本体育大学出身で、メルボルン五輪・ローマ五輪・東京五輪体操女子代表。
1954年世界体操競技選手権で日本女子体操界初の金メダル獲得、「ローマの恋人」と呼ばれた。
東京五輪では団体銅メダル。
いわゆる「ママさん選手」の先駆けとなった人物。
指導者としても名を残し、五輪代表選手を育てている。
日本女子体操界初の国際体操殿堂入り。
日本体育大学教授から名誉教授、副学長を務めた。
現在も強化合宿などにもお顔をだされるとか。
偉大な先人への敬意を忘れずに競技に取り組む姿勢は、どの世界でも大切なことだと思います。
リオ五輪後に採点方式が変更
リオ五輪では合計92.365で金メダルに輝いた内村ですが、今大会では86.350となっています。
点数だけを見るとオリンピックから大きく下げているように見えますが、オリンピック後に採点ルールの変更が行われました。
これまでは技の難度Dスコア重視の傾向でしたが、新ルールでは実施の正確さ、Eスコアが重視されるようになりました。
このため、Eスコアで減点されないために、技の難度を落として、完成度を重視した演技構成にシフトしています。
今回決勝での内村のスコアは、床14.900、あん馬14.050、吊り輪14.000、跳馬14.500、平行棒14.450、鉄棒14.450と、15点台の種目がありません。
これまでは難度の高い技連発の豪快な体操が続いていましたが、それでは単なるビックリ大会になりかねないので、技を綺麗に決めることを重視する方向に舵をきったために起こった現象といえます。
まだまだ始まったばかりの新ルールですが、今後、世界大会を含め、Eスコア重視でどのように体操が変わっていくのか、注目していきたいと思います。