節分のイベントといえば豆まきと恵方巻き。
以前からメジャーだった豆まきは、季節の変わり目には邪気が入りやすいので、新しい年を迎える前に邪気を払って福を呼び込むということで知られていますが、ここ数年、一気に広まった恵方巻きについて、暦の観点から考えると、立春になってから食べるんじゃないのという声を聞きました。
これについて、解説していきます。
立春=正月ではない?太陰暦の仕組みとは?
節分に食べると縁起が良いとされる恵方巻き。
その年の歳徳神(としとくじん)がいる方角に向かって食べると福が来ると言われていますが、暦の上では節分は立春の前日ですので、これだとまだ年が明けていないことになるんじゃないのと聞かれました。
立春を正月とすると、2017年の恵方は北北西ですが、節分の日だとまだ2016年の恵方に歳徳神がいることになるんじゃないのということです。
そうなると、恵方は前年の方角?
でもスーパーやコンビニのチラシでは「今年の恵方は北北西!」と大々的にうたっています。
これってどういうことなんでしょうか?
節分と関係の深い暦は太陰暦で、太陰暦では正月は立春に近い「新月」を基準にしています。
これは月の運航は太陽と一致していないので、立春の日に新月になることはほとんどありません。
立春=新しい年の初め、というイメージは、四柱推命や風水で用いられる考え方で、この印象が強すぎるため、よく誤解されます。
まあそれだけ、皆さん占いが好きだということなんでしょうね。
立春に近い新月となると、立春より前に正月がくることが半分の確率であります。
ちなみに2017年の太陰暦での正月は、1月28日となります。
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立春っていったい何なの?
節分の翌日の立春は、「春が立つ」で春になるから年が切り替わる、というように理解されていることがあります。
しかし「立春」は二十四節気の区切りを表すもので、立春=正月ではありません。
二十四節気とは、ざっくり説明すると、太陽の黄道を4等分し、その分割点を含む日に季節を表す名称で区切ったもので、およそ15日おきに区切られます。
一方の太陰暦は月の満ち欠けを基準としたもので、1ヵ月が概ね30日となり、1年は360日程度となります。
太陰暦と二十四節気は、ずれること前提としており、このずれが1ヵ月になったところで太陰暦に閏月を挟んで調整します。
現代でも閏年に2月29日を入れて、調整しますよね。
それが1日ではなく、豪快に1ヵ月追加するわけです。
たとえば4月の次に閏4月と、もう一度4月をやって、ずれを調整します。
さて、立春ですが、こちらは冬至と夏至の中間にある春分と冬至のさらに中間にある節となります。
1つの節はおおむね15日となっていますので、歴月でカウントすると、立春の前に正月が来たり、立春の後に正月がきたりします。
場合によっては立春と立春の間に2回正月がくる、ということもあります。
先にも述べたように、太陰暦は月の運航を基準としている暦(新月を「朔日(月初)」)ですので、二十四節気の立春とではズレが生じるというわけです。
恵方巻きを食べるのは2月3日でいいの?いいんです!
立春と旧暦の関係が理解できたところで、2017年の恵方巻きを食べるタイミングが、2月3日でいいのか?という疑問に答えが出てきます。
2017年の旧暦の正月は、先にも述べたように1月28日になります。
つまり、2月3日にはすでに年が明けているので、歳徳神は2017年の恵方に移動してきています。
恵方は北北西で間違いないということになります。
これで安心して恵方巻きを北北西に向かって食べられますね。