未来世紀ジパングお得意のこれから発展の見込める国特集。
今回はスリランカ。
以前も番組で取り上げていたが、今回は影響が拡大している中国を絡めた内容であった。
紅茶で有名なスリランカだが、意外なものも作られていた。
日本の大恩人、ジャヤワルダナ氏
スリランカを語る上で忘れてはいけないことがある。
1951年のサンフランシスコ講和会議。
賠償請求や日本の分割統治案も囁かれる中、当時セイロンの代表であったジャヤワルダナ蔵相(後の大統領)の演説によって、賠償も分割もされることなく講和条約を結ぶことができた。
「日本から賠償を取るべきでしょうか?我々は、その権利を行使するつもりはありません。憎しみは憎しみでは消えず、愛によってなくなるのです。」
この時全権としてサンフランシスコに赴いていた吉田茂首相(当時)は、
「日本人はこの大恩を後世まで忘れてはならない。」と語った。
スリランカの歴史について簡単にまとめる。
第二次世界大戦中は、他のアジアの国と同様に列強の植民地となっていた。
スリランカを支配していたのはイギリスで、1948年に独立。
しかし1983年から2009年まで、26年間に及ぶ内戦に突入して、国内は安定しない状況が続いていた。
内戦終結後は治安も安定し、現在では観光地として人気のある国となっている。
言語はシンハラ語とタミル語が公用語で、英語も通じる。
宗教は国民の約70%が仏教徒で、続いてヒンズー教徒が多く、イスラム教徒、キリスト教徒も割合は少ないがいる。
国民一人当たりのGDPは約4,000ドルで、隣のインドが約1,700ドルであることを考えると、必ずしも貧しい国といえないがまだまだ発展途上国である。
ビジネスチャンスに恵まれた国
スリランカはインド洋の南に位置し、東は東南アジア、西はアフリカ、中東、そしてヨーロッパに向かう拠点となる地点にある。
1970年代から海上交通の拠点として発展していた。
日本も当時から多数の企業がスリランカに進出し、その発展に貢献してきた。
近年では中国の影響力が増大しており、一帯一路の重大な拠点として中国は力を入れている国である。
港の整備を行い、その代金のカタに、使用権を99年間確保するなど、相変わらず中国の野心はとどまるところを知らない。
また、港の整備において、現地の住民と問題を抱えていることも、中国が進める開発の風物詩ともいえる。
もう少し現地の人にとって迷惑にならないような方法を取れないものなのかと毎度思ってしまう。
なおスリランカの港に中国の拠点を置く事は、インドとの軋轢にもなるので、この海域が緊迫する可能性がぬぐえない。
スリランカの産業で最も有名なものが紅茶である。
日本では、以前からスリランカ産の紅茶が好まれており、日東紅茶は1961年日本初のティーバッグ紅茶の茶葉としてセイロン産、つまりスリランカ産の紅茶を使って発売していた。
だが近年、インドからの紅茶の輸入量が減ったため、その代替地としてスリランカの重要性が高まり、各国の紅茶ブランドメーカーはスリランカの茶葉に興味を示している。
紅茶で有名なスリランカだが、実は18世紀頃にはコーヒーも飲まれていた。
しかし伝染病でコーヒーが全滅。
以降は紅茶の栽培が盛んとなり今日に至っている。
だがこのほど、コーヒーを復活させる動きが出てきた。
もともと紅茶を育てている土地は、コーヒーの栽培にも適しており、JICA(国際協力機構)がスリランカコーヒー復活プロジェクトを立ち上げた。
そして、スリランカに来ていた建設会社に勤めていた日本人が、この活動に賛同し、2013年スリランカ初のコーヒー専門店をオープンさせた。
このコーヒー専門店の特徴は、男性しかお店で働いていなかったスリランカの社会で、女性スタッフを積極的に雇用している点にある。
スリランカにおける女性の社会進出の先駆けとして頑張っているのである。
まとめ
番組冒頭は大規模なインフラ整備のために中国企業の進出が目立っている店に触れていた。
スリランカに限ったことだけではなく、世界中の発展途上国で今中国の影響力が大きくなっている。
だが、現地の貧しい人たちの生活水準をあげようと努力している日本企業の取り組みは、中国のような派手さはなくとも、確実に現地の人たちの助けになっていると思う。
派手な支援ではなく、現地の人に寄り添った地道な持続可能な支援というものが日本の得意分野であり、支援を受ける側にも必要とされているものだと感じた。