任天堂が「マリカー」を提訴するも商標止められず!そういやフランク三浦も…

任天堂マリオカートの略称「マリカー」が、別会社に商標登録されていたのですが、特許庁任天堂の登録取り消しの異議申し立てを却下していました。

この登録を行った会社は「株式会社マリカー」。
公道カートレンタルを行っている会社です。


この会社は渋谷、秋葉原富士河口湖、大阪、沖縄と全国各地に店舗を構えていて、カートだけでなくゲームやアニメ、映画キャラの衣装を貸し出していたということです。
まあ、その衣装の中に、「マリオ」と「ルイージ」があり、リアルマリオカートとして、外国人観光客の間でも話題になっていました。

そもそも任天堂に許可は取っていない

実際、公道でカートを走らせることができるというサービスは魅力的です。
そこにさらにカートで有名なマリオを被せてきたところは、アイデアとしてはとても優秀だと思います。
しかし問題は、マリオを使用することを任天堂に許可を取っていなかったということ。
それはダメだろう。

 

訴えられた運営会社側は、弁護士と相談して、任天堂に対する不正競争行為及び著作権侵害行為には 該当しないと判断した上で、サービスを提供していたと主張し、意見が真っ向から対立しています。
以前、話題になっていた時にここのHPを見たことがあるのですが、マリオのコスチュームを着た外国人の写真をたくさん使っていて、著作権的に大丈夫なのかと疑問に思っていました。
そしたら今回のこの騒ぎですよ。

 

無許可でマリオを使用していたので、当然任天堂は法的な対応に討って出ました。
著作権侵害による損害賠償1000万円と、特許庁へ「マリカー」の商標登録取り消しの請求を申し立てます。
しかし、1月に商標登録取り消しの申し立ては却下されたということです。

商標はそのものズバリでないと異議申し立てが認められにくい?

なぜ今回任天堂の商標登録取り消しの申請は却下されたのでしょうか?

以前、知り合いの弁護士に聞いた話ですが、商標は一言一句違わないものは登録できないが、少しもじると通ったりすることもあるということでした。
例えば「○○」と「元祖○○」みたいな感じだとOKだとかいう具合です。
もう10年くらい前に聞いた話ですので、今もそんな感じなのかは疑問ですが…。
だけど、まんまそのものの名前だと却下されたり、取り消し請求が認められたりするとは言っていました。

 

今回の「マリカー」は、仮に「マリオカート」だと却下されてたことでしょう。

まあ、却下されるのが分かっていたから「マリカー」にしたんだろうけど。

マリカー」の呼称については、公式ではこの略称を用いておらず、広く認知されていないということで特許庁は申し立てを退けたということです。

確かに「マリカー」という言い方は、私は初めて聞きました。

 

そういえば、数日前、フランク・ミュラーがフランク三浦の商標登録取り消しを求めた裁判で、最高裁がフランク三浦の登録は有効と判断していましたね。

取り扱い商品の価格帯や外見の違いを根拠に混同はされないとの判断なので、今回の件とは少し違うけれど、商標権については問題なしという判断がされています。

フランク三浦のHP

tensaitokeishi.jp

あまりにアホすぎて、ブランドの混同は起こりません(笑)

公道でカートを走らせるのは問題があるのでは?

公道カートについて、法律的な問題はクリアしているのでしょうが、実際のところ、一般ドライバーからはすこぶる評判が悪いようです。

店側の説明では乗車には普通自動車免許が必要ですが、このカートは道路運送車両法においては自動車でなく、原動機付自転車の扱いとなるのでシートベルトとヘルメットの着用の義務はないとのこと。

さらに法廷速度は60km/h、二段階右折の義務はないということです。

シートベルトもヘルメットもなしで、60km/hも出る乗り物が公道を走るわけですよ。

しかもカートは車高が低いため、乗用車でも傍に並ばれると見えなくなるので、一般のドライバーは怖いとの意見が多いようです。

こちらの運営会社は外国人旅行者が多く利用していたようですが、スタッフが同行するとはいえ、日本の道路交通法をあまり理解していない外国人旅行者に、公道をノーヘル、シートベルトなしで走行させるというのは、理解に苦しむところがあります。

国によっては車が優先な社会もあるので、歩行者に最大限の配慮が求められる日本の交通文化を果たしてどこまで理解しているのかも疑問です。

実際に事故も

こちらの運営会社のカートで実際に事故も起こっています。

3/5の午後、港区芝公園の東京タワー前の交差点で、外国人旅行者(20代女性)の運転するカートが交差点を左折しようとしたところ、曲がりきれず「東京タワー前交番」の外壁に接触したとのこと。

職場が近いのでここの交差点はよく知っているのですが、かなり広い交差点で、余程運転をミスらないと左折し損ねて、交番に突っ込むというようなことは起こりません。

スピードを出し過ぎていて、ハンドル操作が間に合わず、さらにブレーキも間に合わなかったといったところでしょうか。

事故を起こしたのが女性だということですから、カートのハンドルが重くて操作が間に合わなかったというあたりが状況かと思われます。

任天堂の本命は著作権侵害

商標登録については、任天堂の主張は認められず、却下されましたが、個人的には本丸は著作権侵害の方なのかと。

衣装の貸し出しやHPに掲載された写真という証拠から、任天堂に許可も得ず、マリオブランドに乗っかって商売を行っていますから、これは著作権侵害にあたるでしょう。

損害賠償請求額について1000万円というのを見て、個人的には桁が2つほど違うんじゃない?と思いましたが、訴訟沙汰になると注目が集まるのが原因じゃないかなと思いました。

 

これはあくまで私の感じたところですが、任天堂はこの訴訟では、例え自分たちに正義があっても、ブランドイメージが傷つくことを恐れたのではないでしょうか?

この公道カートは体験型ツアーとして、海外でも大きく取り上げられています。
特にマリオの認知度はもの凄いもので、リオ五輪の閉会式で登場した際の海外での評価を見れば、その絶大な人気は日本国内を遥かに凌駕しているものであると分かります。
その人気コンテンツをリアルに体験できるツアーのために日本を訪れる外国人も多数います。

今回、任天堂の許可を得ていないこの運営会社は、マリオを使った運営は間違いなく差し止められるでしょう。
明らかに著作権違反なので、当然なのですが、この公道カートを楽しみにしていた外国人旅行者には、任天堂がこのツアーを潰したと認識される恐れがあります。
もし巨額の損害賠償請求を行えば、仮に和解してライセンス料を払うことで合意しても(絶対にないです)、巨額なライセンス料となり、早晩会社は潰れることになるでしょう。
そうすると、任天堂は小さな会社に莫大な金額を要求するがめつい会社というイメージが付きかねません。
そうならないために、今回、任天堂はマリオの無断使用の割には低い請求額で訴訟を起こしたのではないでしょうか?

 

任天堂著作権侵害については断固とした対応を取る企業であることを示さねばなりません。
しかし、夢を売る会社ですので、お金ではなく、権利関係を明確にするだけですというポーズを取って、イメージを損なわないように気を使っているのではないでしょうか。

それならば、使用許諾をしてライセンス料を取ればいいという意見が出てくるでしょうが、そう簡単にはいきません。
マリオというコンテンツを用いた会社が、事故を起こした場合、それにより、ブランドが傷つくことになるからです。
実際、外国人旅行者が事故を起こしました。
今回は人的被害が出ず、事なきを得ましたが、大事故になってしまった時、無関係ではいられません。
キャラを使っているということで、任天堂が運営に携わっていると理解され、その責任を追及され、さらにはマリオのブランドイメージが損なわれることになりかねません。
30年以上の時間をかけて育ててきたブランドに対して、任天堂は大きな責任があります。
そのブランドイメージを守るために、コンテンツ展開は慎重を期さねばなりません。
また、無断使用によるブランドへのタダ乗りに対しても断固とした処置を取らねばなりません。
できるだけ穏便に済ませるように努力したが、やむなく訴えたという形が今回の訴訟なのかなと私は感じます。

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