今さら聞けない人工知能の基礎、弱いAIと強いAI

人工知能を理解する上で、押さえておく概念のひとつ、

「弱い人工知能」と「強い人工知能」。

そもそも人工知能に弱いとか強いとかあるの?

何?戦って勝ち抜いた奴らが強いんじゃないの?とか思いましたが、

詳しく知っていくと、人工知能に対する理解が一気に深まりました。

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「何でもできる」か「何でもできるわけじゃない」かの違い

一般的に人工知能と聞いて思い浮かぶイメージは、

自分で考えて物事を行う機械だと思います。

じゃあ具体的にどんなものがあるのか?

実は現在、現実には自分で考えて物事を行う人工知能は存在しません。

 

えっ?人工知能って人の代わりに考えて答えを出すんじゃないの?とお思いでしょうが、厳密には違います。

現在ある人工知能は、与えられた条件下と情報を元に最適な解答を導くものでしかないのです。

それってどういうことかというと、例えば将棋で人間に勝つこと。

将棋という条件下で、駒の動きや過去の棋譜データを元に、対局し勝つことをめざす機械なのです。

この機械では、車を運転することができません。

つまり、特定の状況に特化したもの(特化型人工知能)なのです。

 

それに対して、一般的にイメージされている人工知能は、身の回りに起こる状況に対して、自分で理解し、解決方法を導き出し、対処するもの。

まさに人間と変わらない人工知能です。

これはあらゆることに対応できるものですので汎用型人工知能と呼ばれます。

この汎用型人工知能は、処理する情報は基礎となるデータが膨大なため、現在のところ、開発の目途が立っていません。

そりゃあね、ご飯を作ったり、洗濯ができて、車の運転ができ、買い物に行って、病気の時は看病までこなせる工学的なデザインやらなんやら、とんでもない技術が必要になることは目に見えています。

さて、ここで最初の話に戻るわけですが、特化型人工知能と汎用型人工知能がそれぞれ「弱い人工知能」「強い人工知能」と分類されます。

将棋で名人を破った人工知能「ponanza」はあくまでデータ上で将棋を指すソフトなので、実際に駒を動かすことができません。

ponanzaが出した答えを実際の将棋盤の上に指したのは別の機械(医療用機械を改造した「電王手(でんおうて)さん」)。

つまり、ponanzaは何でもできるわけじゃない「弱い人工知能」なのです(ponanzaが実際の駒を動かすところまで制御していないため)。

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電王手さん(VS佐藤天彦名人@電王戦)


しかし、仮に駒を動かすところまで制御したところで、将棋を指す以外のことができないのであれば、これも特化型人工知能にすぎません。

汎用型人工知能というものは、人間のように、様々な作業を自律的にできて初めて汎用型人工知能というわけです。

この人間と同様に自分で状況を判断し、対処できる人工知能を「強い人工知能」といいます。

このように考えると、汎用型人工知能の開発が、いかに大変なものなのか想像がつくでしょう。

ひとつの回答としては、SFの世界では人型アンドロイドが汎用型人工知能として描かれています。

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ヒューマンアンドロイド(スタートレック データ少佐



人工知能は人類を滅ぼすのか?

人工知能の発展で懸念材料として語られるのが、ターミネータースカイネットのように人類を滅ぼす人工知能の出現の可能性です。

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現在、アメリカ軍でも実際に人工知能を利用したシステムの運用が始まっているようですが、現状の「弱い人工知能」である限りは、その心配は低いと思います。

そもそも現在の人工知能は、入力された情報を元に、状況を分析し、あくまで既存の枠組みでの最適解を導き出すもので、新たなテクノロジーを構築するものではありません。

軍事用人工知能のシステムがどのようなものか詳細は知りませんが、人工知能が自ら敵を設定し、対処方法をゼロから創り出す(人工知能が対人兵器を自ら設計し、生産拠点を構築し、さらにはそれぞれを外部から制御するシステムを構築する)ことはありえません。


そもそも現在の人工知能は、人間が入力した膨大なデータを処理することで答えを導き出すものです。

つまり、人間の思考(入力されたもの)を超えることはありません。

先の例の将棋でも、たとえ人間が思いつかない手順を導きだしたとしても、あくまでルールの枠内での効率的な手順にすぎないのです。

また、将棋で人工知能が人間に勝利したといっても、膨大な情報を処理する機械を作ることで、勝つ可能性のある手を効率的に見つける方法を編み出した人間の能力が棋士に勝ったということです(棋力VS情報処理能力)。

では人工知能の開発は意味がないのか、といえばそうではなく、作業時間を大幅に短縮できるという点において、大きな進歩なのです。

人工知能の作る未来とは?

私が考える現在の人工知能の行きつく未来のイメージは、SFファンならご存知のスタートレックのコンピューターです。

 

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生活空間に埋め込まれたコンピューターに指示を与え、レスポンスする。

膨大なデータベースを元に、瞬時に答えを導き出し、効率的に作業を進める、そんな世界です。

すでにそんな時代は来ています。

今年相次いで発売されたスマートスピーカー

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Amazon Echo

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Google Home

人工知能音声認識技術)を搭載したもので、聞きたい情報や音楽の再生などを声で指示できるものです。

まとめ

人工知能技術は、最終的に到達する地点から考えると、まだまだ始まったばかりのものです。

現状は特化型の人工知能しか作ることはできませんが、それでもライフスタイルを一新する可能性を秘めています。

ただ人工知能は、一般に知られて日が浅いため、もしかしたら人に害を及ぼす危険性があるのでは?という危惧もあります。

しかし、正しく理解すれば、人工知能は怖いものではなく、生活を豊かにする可能性に満ちた技術であることが分かってきます。

特化型人工知能をうまく使いこなしていくことが、これからの時代求められる能力だと思います。

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